企画展 vol.50
あなたのディストピア展
2024.4.3.Wed ~ 2024.4.29.Mon
Open 9:00-20:00
入場無料
この場所、ディストピア。
ディストピアはギリシア語の「δυσ(悪い)」と「τόπος(場所)」を組み合わせた言葉である。アンチ・ユートピアとも呼ばれ、ユートピア、つまり理想郷の対極にある世界を指す。日本語では暗黒郷とも言い表される。
そもそもユートピアとは、イングランドの思想家トマス・モアが1516年にラテン語で出版した『ユートピア』という本に登場する架空の国家の名称である。ギリシア語の「οὐ(無い)」と「τόπος(場所)」を組み合わせた造語で「どこにもない場所」という意味だ。トマス・モアの意図は、どこにもない理想の社会を対置し、現実の社会を批判的に見ることにあった。
ディストピアはフィクションの中に現れる。現在目の前にある社会課題が極限まで悪化した世界、現実社会の既にある傾向が行きつくところまで行った世界、歴史のある時点で異なる選択をした世界など、多くは、私たちが想像するバッドシナリオ、ifの世界が描かれている。
しかし、ユートピアが「どこにもない場所」であるならば、今生きているこの場所がディストピアだと言えるだろう。この場所、this topiaである。日々、目にするフィクションの中で、悲惨な状況に慄いたり、巨大な悪に憤ってみたり、安全な自分の状況に安堵したりする。そんなあなたが立っている場所こそがディストピアなのかも知れない。
「あなたのディストピア」展では、フィクションのディストピアから現実にあるディストピアまで、複数の本によって描き出してみる。この場所には希望も絶望も、一緒くたに、ごちゃ混ぜになっている。誰かの希望は誰かの絶望であるかもしれないし、誰かの絶望が誰かの希望であるかもしれない。ディストピアに取り込まれるにせよ、ディストピアを抜け出すにせよ、ディストピアをぶち壊すにせよ、この場所(this topia)で生き延びるためのツールを手にして欲しい。
腐食が生み出す美しさ「Orii」
銅をはじめとする金属素材の「腐食・錆び」という特性を人為的に発生させ、独特の風合い、発色を生みだす「Orii」のプロダクト。「あなたのディストピア展」では、腐食が生み出す美しさの危うい両面性、そして錆びた金属の質感を過去から未来へとつながる時間を表すものと見立てて展示・販売する。腐食した金属の複雑な質感を眺めながら、あなたのディストピア/ユートピアを夢想してみて欲しい。
イベント
本日の一冊
8月26日の本
『背守り-子どもの魔よけ』(LIXIL出版)
< スタッフレビュー >
別世界との境界線、背中。幼い子どもの魂が背中から落ちてしまわないように、背中から魔が入り込まないように、と縫い留められた祈りたち。かつて着物は霊魂の容れ物だった。心身と衣服、生と死それぞれの間を考える1冊です。(涎)
所在地
〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
文喫とは
―― 文化を喫する、入場料のある本屋。
人文科学や自然科学からデザイン・アートに至るまで約三万冊の書籍を販売します。一人で本と向き合うための閲覧室や複数人で利用可能な研究室、小腹を満たすことができる喫茶室を併設しています。エントランスでは約九十種類の雑誌を販売。普段はあまり出会うことのできないラインアップも交え、来店されたお客様の新たな興味の入り口となります。また、企画展も定期的に開催します。
文喫のたしなみ方
入場料 1,650円(税込)※土日祝は2,530円(税込)
一、総合受付で入場バッジを受け取る
二、飲食受付で珈琲・煎茶(おかわり自由)を受け取る
三、じっくりと本を選び、好きな席で過ごす
四、意中の一冊と出会うかもしれない
五、店内の全ての本が購入可能
六、お帰りの際は入場バッジを受付に返す
お知らせ
2024.03.01
2024.02.26